京野カズカ
「次の駅も人で溢れており通過致します。お急ぎのところご迷惑をおかけいたします。」
早口の女性のアナウンスが聞こえた。アナウンスが女性の声だったんだと初めて気がついた。夢の中で妹の声が聞こえていたつもりが、現実はずっとアナウンスの声を聞いていたのかも知れないなぁと眼を瞑りながら思い出してみた。
パチパチパチ、音の誘われて薄目を開けると車窓がオレンジ色になっていた。電車が駅を通り過ぎるのに慣れているのか誰も立ち上がらない。スーツ男はコーラの瓶を両手で握りしめ皺を寄せて眼を閉じていた。
グルッと首を回したその時また車内灯が誤って消されたようだ。もうすぐトンネルだし暗くても同じだなぁともう一度首を回した。 次の次の駅へ着くには長い薄暗いトンネルを走り続ける。どうも最初のトンネルに入ったらしく耳がツーンとして来た。コーラを飲みたいなぁと思いながら左の唇をちょっと舐めて眼を瞑った。まだトンネルの中に居るなぁと感じながら夢の中の妹を捜した。
耳がキーンとするのを感じていたら、 ぼんやりと三つの物体が揺れているのが遠くに見える。このままそこまで歩いて行けば 大丈夫なのだろうか?
"Am I sure ?"
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